個人輸入物語2 ~はじめてのオパス~

トゥルル、と、ワンコール。女性の声が愛子の耳に響いた。

「お電話ありがとうございます。オパスでございます」

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ピンポーン。

休日のゆったりとした時間が流れる朝、チャイムの音に間延びした返事をした愛子は、エプロンで手を拭きながら玄関へと向かった。

yamato-resized-600「はいはいはーい」

「ヤマトです。お届けものです。ハンコかサイン、お願いします」

「やった、届いたわ!」

「え?」

「いえ、なんでもありません。サインしますね」

ガッツポーズをするのはひとまず後回しにして、愛子は小さな荷物を受け取った。オパスの買い物代行サービスを利用して、約2週間後のことだった。

満面の笑みで配達員を見送り、鍵をかけなおしてリビングに戻ると、今のチャイムで起きたのか、夫の良彦がパジャマ姿でイスに腰掛けていた。嬉しそうな愛子の様子に少し目を見張り「どうしたの?」と訊ねた。

愛子はうふふ、と笑いながら、手に持った小さな袋を良彦に渡す。

「なんだい、これは。うちの住所とか君の名前まで、全部ローマ字じゃないか」

「すごいでしょ。アメリカで買ったのよ」

どうだ、とばかりに胸をはる愛子とは対照的に、良彦は眉を寄せた。

「アメリカって……。大丈夫なのか? 怪しい会社とかじゃないのか?」

「失礼ね、ちゃんとしたブランドよ! ほら、開けてみて」

訝しげに首を傾げながらも、愛子の言うとおりに封を開ける良彦。粘着力の強いテープを力任せに引っ張った。

愛子にとっては待ちに待った、良彦にとっては初めて見る、子供用のワンピース。

「やっぱり可愛いわあ。個人輸入してよかった!」

早く娘に着させたい、とソワソワする愛子に、良彦は首を傾げるばかり。破いたばかりの梱包に貼られているステッカーをしげしげとながめている。

「アメリカから買ったのは確かみたいだけど。この、発送元は? オー、ピー、エー、エスって書いてるけど、このブランドじゃないじゃないか」

「オパスよ、オパス。個人輸入代行をしてくれる会社なのよ」

「代行? さっきから個人輸入とか言ってるけど、一体なんなんだよ」

良彦からの質問に、愛子は待ってましたとばかりに目を輝かせた。

「個人で輸入するから個人輸入なの。オパスっていうのは、それを手伝う会社なのよ。アメリカにね、自分の私書箱を持てるの」

「へえ、そんな会社があるのか」

「もう、反応薄いわね!」

「そんなこと言われてもなあ」

あまり聞く気のない良彦に、愛子はどれほどこのワンピースが欲しかったのかを熱弁した。

「でも私、まるっきり英語なんてできないでしょ? アメリカで買い物だってしたことないし、もうどうしたらいいか本当に悩んでたわけなのよ。でもね、このオパスがね、全部代行してくれたんだから!」

「まるっきりって……、胸を張って言うことじゃないだろ」

「それだけすごいのよ、って言いたいのよ。だって普通だったら、海外で言葉も通じないところでしか売ってない商品なのよ? あきらめていたものが、手に入ったんだもの」

「なるほど、そうだなあ。輸入なんて、思いつかなかったよ。買えるのは、服だけなのか?」

熱に浮かされたように喋る愛子に、徐々に良彦も身を乗り出してきた。愛子は少し考えてから「そうね、服だけじゃなくて、色々輸入できるはずよね」とちょっとだけ首を傾けた。

それを見て良彦は、よし、と頷く。

「こないだ会社の同僚のアメリカ土産のお菓子がおいしかったよな。日本じゃインポートの店にも置いてなかったし、それも買えるのか調べてみようか」

girl-resized-600個人輸入により、アメリカを身近に感じた愛子。

こうして買い物の選択肢が増え、視界が広くなった二人は、次の輸入を模索しはじめたのだった。

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※この物語の登場人物はフィクションです。

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